トリリンガルが語る笑いの違い(日中米)

  • 笑いはすごく複雑だ
  • 日本の笑いにはボケとツッコミがある
  • 中国の笑いにはツッコミしかない
  • アメリカの笑いにはボケしかない

新しい言語を学んだことがある人はわかると思うが、笑いはとにかく難しい。

言語によって笑いの期待値を知らないと笑うことも難しい。笑いを知るには文化、歴史、宗教、政治やタブーの知識がないと難しいと私は思っている。誰かが人種差別などのタブーを言って笑いを取ろうとしていたら、その場で笑わないことも重要だ。

私は小さい頃から、日本のバラエティーショーを見るのが大好きだった。芸人や芸能人のボケとツッコミを見て、日本の笑いの文化を知った。

日本の笑いの基本はボケとツッコミだ。誰かがボケた発言をして、それに合わせて「なんでやねん!」と頭を叩きながらツッコミを入れる。それがよくあるスタンダードだ。でもよく考えて見るとこれは、ワールドスタンダードではない気がする。ある日私は気づいたのだ、中国の笑いにはツッコミしかないことを、そして、アメリカの笑いにはボケしかないことを。

説明するのは難しいが、これから書くことは完全に私の持論である。私はつい最近まで日本のお笑いばかりを見ていたので、おそらく日本の笑いの方がアメリカや中国の笑いよりも詳しい。もしも違う意見を持っている方がいるのなら、喜んでお聞きしたい。

まず、中国の笑いについて。中国語にはボケと言う概念がそもそもない気がする。だから、中国語の面白い話を聞いて、日本語にそのまま翻訳をしてしまうと、文字だけを見るとただのイジメのように見えることがある。誰もボケてないのに周りはひたすらツッコミを入れると言う感じだ。それが理由なのか、私は日本人から中国人は言い方がキツイと言う話をよく聞く。おそらく、大阪に初めて来た東京の人が大阪で全くボケてもないのに、周りの人からめちゃくちゃツッコミを入れてビックリするのと同じ感じだろう。同じ冗談を言っても、日本人は中国人以上に傷ついてしまうのだ。(そりゃそうだ、ボケてもないのに突っ込まれるのだもの)

そして、アメリカの笑い。私は英語の冗談が笑えるようになるまで、だいぶ時間がかかった。学校での授業は英語だったが、周りに英語で喋る友達がいなかったせいもあって、あまり英語のドラマやトークショーを見る習慣がなかった。冗談に対しての考え方も日本とアメリカでは違う。日本人と比べて、アメリカ人は初対面の人とでもジョークを言い合う文化がある気がする。

前にアメリカで服を掛けるハンガーをお店に買いに行ったことがある。すごく大きなお店で品揃えもすごくよかった。なんでも売っていたが、ハンガーだけが見つからなかった。やっとの思いで見つけた店員の方に、ハンガーの場所を聞いたが、売り切れたと言われた。その時に言われたのが「ごめんなさい、ハンガーは売り切れちゃったのよね、でも明日私が家から持って来てあげるわよ」だった。なんだこの面白い言い方は!と私は衝撃を受けた。ボケかツッコミかで言ったら100%これはボケだ。ただ関東で生まれた私には、面白い返し方を知らなかった。めちゃくちゃ頭をひねったが何も出てこなかった。私はその場で「あはは」と笑って店員に礼を言ってお店を出るしかなかった。

私は長い間このことが忘れることができなかった。ずっと返しかたを考えていたが何も思いつかなかった。それから何ヶ月かたったある日、私は大阪出身の方に会った。その時にその人だったら、どうやって返すかを聞いてみた。すると「じゃあ一番高いの持って来て、って言うかな」と言われた。さすが大阪人!100点満点の答えじゃないか!これぞ私がさらっと英語で返したかった答えじゃないか!と私は思った。その日から私の大阪人に対する尊敬度は150くらい上がった。

Published by Mufasa.

日本と台湾のハーフ。日本語、中国語、英語でブログをゆるーく書いてます。

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