12回日本の小学校に体験入学した私の体験談

体験入学とは?

体験入学とは、海外在住の子供が現地の学校の長期休みを利用して、一時帰国中に日本の小学校に通い、その生活を体験することです。

私は当時中国の現地校に通っていたので、夏休みと春節休みの期間を使って体験入学をしました。

1年生から6年生まで1年に2回通ったので合計12回通いました。回数はかなり多い方だと思います。

実は、小学校に通う前も、日本の幼稚園に体験入学で通ったことがあったので、小学校が初めてではありませんでした。

体験入学をした理由

中国の学校に通っていて、日本人が周りにあまりいない環境で育ったので、親が日本のことをもっと知って欲しいという思いで、学校に通うことになりました。

中国と日本では文化が違い、学校生活で経験できることが全然違います。私の両親は、体験入学を通して私に日本の礼儀、しつけ、習慣の違いを少しでも学んで欲しかったのです。

それ以外にも、私の中国で通っていた現地校があまりにも大変だったため、勉強だけじゃない楽しい時間を過ごせる子供時代を経験するために日本の学校に通いました。

毎年二回、合計12回も体験入学をした理由は、それぞれの学年で学べるものが違うからということでした。低学年には低学年の楽しさがあり、高学年には高学年の楽しさがありました。

色々と書きましたが、結局のところは母が友達に勧められたからというのが大きかったと思います笑。口コミの強さですね。

中国の学校と日本の学校は全然違う!

中国の現地校から日本の公立の学校にいくと、いろんなことが違っていました。

写真はイメージです

1. 一科目しか教えない先生vs全教科を教える先生

中国では、小学校でも中学や高校と同じように、先生は科目ごとに分かれていました。ですが、日本の学校では一人の担任の先生が全科目を教えていたことが最初のショックでした。

算数の先生が国語も体育も教えていて、本気でスーパーマンかと思いました。日本の小学校に通って、それが普通だと思っている方は、高校の物理の先生が日本史も教えていることを想像してみてください。それが私が受けた衝撃の大きさです(笑)

中国では、先生は1科目しか見ないので、生徒の学力だけをメインに評価していました。それに比べて日本の先生は、全科目を見て、休み時間も一緒に過ごしたりすることによって、生徒の学力だけでなく、人間関係なども全方位から理解することができると思いました。

ただ、そこまで求められる日本の小学校の先生は本当にスーパーヒーローだと今でも思っています。

2. 絶対的な先生 vs 一緒に遊んでくれる先生

中国で通っていた現地校で先生は絶対的な存在でした。一年生の時の先生はもう本当に鬼のような先生で、怒っていない時間の方が少なかったです。勉強が一番重要視されていたので、それ以外のことを学校でした記憶があまりありません。

日本に来ると、先生の楽しさにびっくりしました。授業中たくさん笑わせてくれるし、休み時間になると一緒に遊んでくれる、友達のような先生がいるということにショックを受けました。

私が思い出深いのは、冬のある雪の日、みんなで20分休みに雪合戦をした時です。

みんな先生が大好きだったので、真っ先に先生を狙っていました(笑)。あるヤンチャな男の子は、雪のボールをこっそり先生のズボンのポケットに入れていて、教室に戻ると先生のズボンがびちょびちょになっていました。流石に先生はその時は怒っていましたが、そのあとまた一緒に遊んでくれました。

そんなことをすると中国の学校では死ぬほど怒られるなと思い、ちょっと私はビクビクしていました。

3. 学んだことのないことがたくさん!

日本の学校で、たくさん初めての経験ができました。習字の授業で書道をしたり、家庭科で縫い物をしたり、音楽でみんなで一緒に合唱をしたり… 新しいことを挑戦するたびにドキドキしました。

当時私が通っていた中国の学校では、学校=勉強する場所という考え方が強かったので、国語、算数、英語の授業以外は割と軽視されていました。

国語の授業が授業時間内に終わらなかった場合、休み時間やその次の音楽や体育の授業がそのまま潰されて国語の授業になることがすごく多かったです。

音楽の先生が教室に入ってきても、国語の先生が「ごめんね、音楽の先生、国語の授業が終わってないの」というと音楽の先生は「わかった」と言って教室を出て行ったりしていました。

なので、ちゃんと授業が受けられる音楽、美術や体育の授業が本当に楽しかったです。

4. 日直がいる

日本では、日替わりの日直が、授業が始まるときに「起立、着席」と言ったり、給食の献立を読んだりしますが、私の通っていた中国の学校に日直はいませんでした。

5. 給食の時間

お昼の時間は毎日の楽しみでした。日本で食べた給食は、本当に美味しかったです。あとから知りましたが、私の行った学校には、すごく熱意のある給食のおばちゃんたちのチームがいて、出汁は天然素材を使ったものしか使わなかったり、肉饅も全て手作りで冷凍のものは出さないなど色々とこだわりがあったそうです。なので、いま思い返してもめちゃくちゃ美味しかったです。 

給食を食べるときに、すごく楽しい班になると、本当に面白い人たちがいたりして、食事中ずっと爆笑したりしていました。掃除の時間の鐘がなって、みんな慌ててご飯を頬張ったりしたのも、良い思い出です。

中国の学校では、日本と同じように教室で給食を食べていましたが、食事中は静けさを求められました。席も一人一列でみんな離れて座っていたので、みんなでワイワイ食べるという感じではありませんでした。少し話し声がうるさかったりするとすぐ、先生に「静かにしなさい!食事中でしょ!」と怒られました。なので、日本の学校で給食の時みんなでワイワイするのは最初はちょっとカルチャーショックでした。

給食の時間

6. 掃除をみんなでする

掃除を自分たちでしないといけないのも驚きでした。中国では、専門の清掃員がいます。なので、学生は掃除をすることがあまりありません。

日本の掃除の時間では掃除の楽しみを知りました。みんなが嫌がる雑巾掛けも、じゃんけんで負けてすることになっても、私にとっては貴重な体験だったので全然苦ではありませんでした。

7. みんな薄着

中国の子供達と比べて、日本の子供達は冬でも薄着です。私は中国にいた頃、冬には分厚いダウンの中に3枚くらい薄着を着込む時もありました。みんな冬には3,4枚重ね着をしたりしていました。

日本に来ると、寒いのにみんな長袖2枚で過ごしたりしていてショックを受けました。中には雪の日にも短パンとタンクトップで学校にくる男の子もいました。中国でそれをしたら、学校にたどり着く前にたくさんのお節介おばさんにもっと服を着なさい!と怒られると思います。笑

ただ、その男の子は次の日熱を出して学校を休んでいました笑

8. 席替えがくじ引き

日本の学校でもしかしたら一番びっくりしたことがくじ引きでの席替えでした。

くじ引きで席を決めるって、公平「すぎる」ので、席替えがそんなに公平でいいのか!というショックでした。

私が通っていた中国の学校では、席は先生が決めていました。なので私はそれがずっと当たり前だと思っていました。大体、最初に背の低い子と視力の悪い子は前に座らせられて、それ以外の人たちが真ん中と後ろに座らせられていました。

途中で授業中うるさかったりすると、先生が席替えをさせて、二人は離れ離れになったりしていました。日本に行く前はずっと席を決めることも先生の仕事のうちだと思っていました。

9. 校歌を歌うvs 国歌を歌う

中国の学校では、毎朝朝礼の時に中国の国歌を歌っていました。日本の学校では国歌ではなく校歌を歌うと知った時にはちょっと驚きました。

楽しかったこと

日本の学校に通っていて、楽しいことは本当にたくさんありました。私が当時通っていた、中国の現地校は勉強にしか関心がなかったので、学校で楽しい思い出があまりありませんでした。とにかく、勉強をさせられていた記憶しかありません。(笑)

でも、日本の学校に行くと、でみんなで給食を食べたり、休み時間遊んだり、書道など本当にたくさんの経験ができたことが何よりも楽しかったです。

日本の学校に行って、日本人の友達を作れたことも自分の日本語力にすごく自信が持てるようになりました。

大変だったこと

もちろん、体験入学は楽しいことばかりではありません。大変なこともたくさんありました。

1. できないことだらけ

みんなが通っている学校に突然入ることになるので、全てにおいて出遅れていることになります。

私の場合は中国の学校で学ばなかったことを日本で初めてするのがちょっとキツかったです。(書道、音楽の合唱や演奏、美術で彫刻刀を使うことなど)大体、7月の一学期が終わる頃に体験入学に行っていたので、周りはもうみんな慣れていることに初めて挑戦するという形になります。

今考えれば初めてすることなので、できないことは当たり前ですが、当時の自分にとっては、「あれもできない、これもできない」日々が続くのは少し辛かったです。

周りの同じ年齢のみんなは当たり前のように出来ていることが自分はなんで出来ないんだろう?と考えると落ち込んだりしていました。

2. 友達作り

今考えるとこれも当たり前って言えば当たり前なのですが、行く期間が短いので、友達作りは少し難しいです。

友達作りの難しさは、回数を重ねることと、年齢を重ねるごとに難しくなっていきます。

高学年の方がきつい理由は3つあります

  1. 仲良しグループが出来上がってる:  低学年では、みんな一緒に仲良く遊んでいたのが、高学年になると男女別れて、小さなグループがたくさん出来ていました。その中に入るのが結構難しかったです。
  2. 放課後に忙しくなる: 早い子は小学校3年生から塾が始まって、放課後に一気に忙しくなることが多いので、放課後に一緒に遊ぶことが出来なくなります。
  3. 委員会やクラブ活動が始まる:高学年になると、委員会やクラブ活動が始まるので、休み時間や放課後にみんな忙しくなると、遊べる相手がいなくなる。

3. 拒否される経験

小学生は、正直なので、はっきりとものを言う子は本当にはっきり言います。

「一緒に遊ぼう」「やだ」、「一緒に帰ろう」「だめ、〇〇と帰るから」

などと、急に拒絶されてびっくりする経験がありました。

幸い、私は一人でも大丈夫な子供だったので、拒否されたら、他にやれることを探したり、他に帰れる友達を探したりしました。

今思うと、子供って残酷ですね笑

結論: 行ってよかった

楽しいことも、大変なこともたくさんあったけど、結局は行ってよかったなと思っています。

日本の学校に一緒に通っていた友人とは大学生になった今でもfacebook やinstagram で繋がっていたりして、たまに連絡を取り合ったりしています。

去年の冬には体験入学で知り合った日本の友達と7年ぶりに会って、当時のことを振り返ったりしてすごく楽しかったです。

少しの期間でも、日本の学校に通えたのは、日本を理解するという面でもすごくよかったと思います。

日本の学校に短い期間でも行くことによって、日本をよく知らないというコンプレックスから少し解放されたと思います。

日本で育った日本人と同じような経験をしたというのは、私にとって大きな自信になりました。

日本の学校の様子をアニメや漫画などで「知っている」だけでなく、実際に「経験」するのは本当に素晴らしいことだし、特別なことだと思いました。

もし、迷っている方がいたら、絶対に行くことをオススメします。


日本の学校で私が戸惑ったことについての記事はこちらから読めます。

https://atomic-temporary-172016012.wpcomstaging.com/2020/07/12/7things-that-surprised-me/

Published by Mufasa.

日本と台湾のハーフ。日本語、中国語、英語でブログをゆるーく書いてます。

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