スイスってどんな国?
スイスって聞いた時に、まず何を思い浮かべますか?
チョコレート、チーズフォンデュ、アルプスのハイジ、雪国、時計、絶景などなど、様々なことを思い浮かぶ方がいると思います。アルプスの山々に囲まれていて、絶景がみられる国です。
日本からは直航便だと12時間の距離にあるので、少し遠い国という認識を持っている方が多いのではないでしょうか。
場所は、フランス、ドイツ、イタリアに囲まれている永久中立国で、EUには加入していません。
日本でも、タレント活動している、日本とスイスのハーフタレント、春香クリスティーンさんも日本語、英語、フランス語とドイツ語の4ヶ国語が話せるところから見ても、スイスの言語環境って、気になりますよね。
言語環境としては最高!
そんなスイスは、言語を学ぶパラダイスだと私は思っています。
- まず、学ぶのが簡単、言語間距離(Linguistic Distance)が近い。言語間距離とは異なる言語がどれだけ似ているか、または違うか?という分析です。言語間距離が近ければ近いほど、その言語の習得が簡単だと言われています。スイスの言語(これから解説します)はヨーロッパの言語であるがゆえに、ラテン語が元になっていて、言語自体学ぶのが比較的に簡単です。
- 次に、陸続きで他の国に行くのが楽。スイスから電車で3時間も乗れば、ドイツやフランスにいけちゃうので、留学がすごく簡単!スイス国内でも1−2時間の移動で違う言語を話している地域にいけちゃうので、違う言語を話しているところに行く、というハードルはすごく低いです。
- 最後に、私がすごく重要だと思う点が、言語に対する許容度がすごく高いことにあると思います。多言語話者が多く存在し、それを学ぶ難しさやキープする難しさも知っている。だから、言語が上手じゃなくてもばかにしないし、相手の言語に合わせようとする優しさを国民の多くが持っている。それもスイス人の言語が上達しやすい理由だと思います。
スイスの公用語は?
スイスには4つの公用語があります。
ドイツ語、フランス語、イタリア語、そして、ロマンシュ語です。
国民の大多数がドイツ語を話して、その次がフランス語、イタリア語。ロマンシュ語を話す人は、人口の1%にも満たないと言われています。
ちなみに、日本でテニスが有名なロジャー・フェデラー選手は、バーゼルというドイツ語圏出身です。
ドイツ語地域で有名なのは、スイスの首都ベルン、観光地でおなじみのルチェルン 、チューリッヒなどがあります。フランス語地域には、ジュネーブやローザンヌがあります。そして、イタリア語地域でいうと、ティチーノ州が有名です。
スイスの言語について説明しているビデオです。英語ですが、英語字幕をつけることができます。
スイスドイツ語(Swiss German)
スイスにいる国民の60%以上はドイツ語を話します。
スイスで日常的に使われている、スイスドイツ語(Swiss German) は、話し言葉で、学校では書き言葉としてドイツ語(High German)を学びます。
スイスドイツ語は方言のようなものなので、スイス人同士が会話をするときに使います。スイス人がドイツに行っても、学校ではドイツ語を学んでいるので、困ったりはしないそうです。
ただ、面白いのは、スイス人はドイツ人のドイツ語がわかるけど、ドイツ人がスイスドイツ語を聞いても全く理解できないそうです。
中国語で言う、広東語や台湾語のようなものなのかもしれないですね。
フランス語
つぎに、スイスの20%の国民が使っているフランス語ですが、こちらは、フランス語とあまり変わりません。
ただ、食事の言い方や、数字の言い方がちょっと違う程度です。
フランス語では、数字は20がベースになって数えるので、80のことをquatre-Vingt (4×20)と言い、90は quatre-vingt dix (4×20+10)と言います。(フランス語を勉強し始めた90%の人は、ここで一度辞めたくなっているんではないかと私は勝手に想像しています。WHY FRENCH PEOPLE!)
スイスでは、アジアと同じように10がベースとして数えるので、80はhuitante (eighty) 90はnonante (ninety) というふうに言います。
イタリア語
イタリア語はメインの3つの公用語の中で話す人口が最も少ない言語です。
それが理由なのか、スイスの他の言語の地域にいる人とコミュニケーション取るために、イタリア語圏に住んでいる人のトリリンガル率がすごく高い、という話を聞いたことがあります。
ロマンシュ語
スイスで母語とする人が全体の1%にも満たないロマンシュ語ですが、文化保存のため、「部分的な」公用語として定められています。
こういうところから、スイス人の言語に対して許容度が高いことが伺えますね。
昔は「田舎言葉」として馬鹿にされてた過去もあったそうですが、今は徐々に「かっこいい」という認識に変わってきているそうです。若者の間では、あえて音楽活動に取り入れたりする動きも上がっているそうです。
スイスの言語教育
スイスの国の方針では、4つの国の公用語から、少なくとも2つは話せる様になる様にする教育システムになっています。
ただ、最近ではスイスの第二公用語と、英語のどちらを優先するかという議論がおこっているようです。
グローバリゼーションが進んで、英語がどんどん重要になってきている今では、英語の需要がこれまでにないほど上がってきています。
子供達に、自国の公用語を教えるか、英語を教えるかは、4つも公用語がある国スイスならではの悩みではないでしょうか。
どうやってトリリンガルになるの?
まず、学校で最初に習うのは、自分の住んでいる地域で使われている言語です。その後、国の第二公用語と英語を学校で学びます。
なので、普通にスイスで学校教育を受けると、
自分の地域の公用語+第二公用語+英語
をみんな学校で学びます。
ただ、言語力は、住んでいる地域、生活環境と、その後の自分の努力に左右されるので、みんながみんなペラペラに3つの言語を話せるわけではありません。
マルチリンガルの国ならではのこと
先ほどお話ししたスイスの4つの公用語ですが、例えばジュネーブなどのフランス語圏で育った子供がいるとしましょう。最初に学ぶのは当然、フランス語ですよね。そのあとに第二公用語として学ぶドイツ語は、書き言葉のドイツ語です。
そのため、フランス語圏で育って、後からドイツ語を学んだ人は、ドイツ語圏に行っても、スイスドイツ語が理解できないということがあるそうです。
面白いですよね。
スイス人同士の会話は?
4つの公用語がある国ですが、国民全員が全ての言語を話せるかといったら、そんなことはありません。スイス人は、自分が生まれ育った言語圏に留まり、そこで生活をする傾向が高いからです。
しかし、スイス人の6割は、週に一度は複数の言語を使っているそうです。すごくインターナショナルですよね。
最近では、英語を話す人が増えていることもあって、違う地域の人とは、英語で話す人も増えて来ているそうです。
私はスイスに来て2年ほどたちますが、みんなの、簡単に言語をころっとスイッチできる能力に驚かされることはよくあります。
最後に
ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4ヶ国語が公用語のスイス。今のようになったのは、長いヨーロッパの複雑な歴史の結果です。
言語には言葉だけでなく、文化や宗教、考え方など、すごく複雑なことがたくさん含まれています。
言語に許容度が高いスイスは、すごくオープンマインドで、私は、そういうところに、大きな魅力を感じます。
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