「何語が一番得意なの?」TCKの悩みシリーズ

前回のブログでは、TCK(Third Culture Kids) について書いたが、もう少し掘り下げて考えてみようと思う。TCKに興味がある方はこちらをお読みください。

TCKの特徴のうちの一つとして、「どこからきたの?」という質問に簡単に答えられないというものがある。

それと同じように聞かれて困るのが、「何語が一番得意なの?」という質問だ。

私の場合、三つの言語のある環境で育ったため、いろんな言語を使いながら育った。

一つの言語で育った人にとっては、語彙力というものは生活のあらゆる場面で増えていくものだと思うが、いろんな言語の中で育った子供は、言語によって知っている単語が違ったりする。

私は日本人と母と台湾人の父を持ち、中国上海で、現地校とインターナショナルスクールに通ったのち、スイスの大学に通った。

いる場所と学校によって、使う言語は変わっていた。中学生のとき、家では母と日本語、父と中国語で話し、学校では英語で授業を受けいていた。つまり、日常的に日本語、中国語、英語を使っていたのだ。

母国語について

三つの言葉を使って育ったからと言って、全てがネイティブというわけではない。

私は聞かれたら、「日本語と中国語がネイティブ」と答えることが多い。理由は小さい頃はから日本語と中国語のある環境で育ったからだ。英語は小学校高学年から学んだため、ネイティブレベルには遠いと思う。(今度、学校教育と言語力についてのブログを書きます、お楽しみに!)

みなさんはネイティブって聞いた時に、どのようなレベルを思い浮かべますか?

ネイティブレベルというのは恐らく、ネイティブの会話のスピードについていけて、広い範囲の語彙力を持ち、綺麗な発音をもち、自分をちゃんと表現でき、その国の常識を知っている言語だと私は思っている。

逆に言えば、それを全てできていないと、「ネイティブじゃないレッテル」を貼られてしまうのである。

私は、普通に話していると、全く海外育ちだとも、ハーフだとも気づかれない。ただ、会話の中で、「日本人ならみんな知っている常識」を知らないことで「???」というリアクションを取られることがある。

私は、日本で教育を受けていないため、小学生や中学生の知っている義務教育で学ぶ語彙が抜けていたりする。

例えば、「シノウコウショウ」や「ホゲイセン」などという言葉が会話に出てくると、わからなかったりする。その時に意味聞くと、「なんでこれを知らない?」という顔をされたりする。ただ、中国で育ったため、漢字で「士農工商」、「捕鯨船」と書いてもらうと、意味はすぐにわかる。

私が持っていない、日本人の常識の「穴」を埋めるために、時間がある時に、大河ドラマ見たり、本を読んだりして、日本の歴史を楽しく学んだりする様にしてる。

中国語に関しては、私は野菜の名前を知らない。いつも家で母と日本語で晩御飯のおかずの話をすることが多く、日本語ではいろんな野菜を知っていたが、学校で友人と中国語で野菜の話をする機会がなかった。

それもそのはず、「最近ピーマンが安い」なんて会話、学校の友達とする人の方がまれなんじゃないか…

英語では、病院に行った時に、耳鼻科の医者の英語の言い方がわからなくて、病院の科目名を英語で知らないことにハッとした。しかし、そういう単語は日本語と中国語では知っている。病院に行ったり、医療系ドラマを見たりすることでその辺の語彙は増えていったのだと思う。

こんな感じで、私がネイティブである言語でも、沢山の「穴」があったりする。

つまり、「何語が一番得意なの?」の答えは「なにをするかによる」だ。

最後に、TCKの悩みについて

思春期の悩みは、まわりとの期待値が違う時におこると私は思う。今では、自分の育った環境を理解し、なんで今の状態なのかがわかっているが、昔は、いちいち人が戸惑うのを見ては自分を疑ったりしていた。

TCKの難しさは、発音の良さのため、ネイティブだと思われてしまい、その期待値を少し下回った時に、がっかりされてしまうことだと思う。そういう人たちは「でも、〇〇語は母国語でしょ?」と聞いてくることが多い。

多言語の環境で育ったことを説明すると理解してくれる人も多いが、TCKの場合、いろんな国に住んでいた経験があったり、国によって違う言語を使っていたりするので、説明が長くなってしまったりする。中にはその話の途中で飽きたり、より混乱してしまったりする人もいる。

自分の言語レベルを、ちゃんと説明しないと人にわかってもらえないのは、正直ちょっと面倒臭いなと思うことは多い。

他にも、ネイティブだと思っている言語を「完璧」に話せてないと、「じゃあ他の言語はもっとうまいんでしょ?」という期待をされることがある。その期待に沿えない場合、結構辛かったりする。

いろんな言語を話せて得したことはたくさんある。それと同時に、モヤっとした経験をすることも多かった。シンガポール、スイス、カナダなど、いろんな言語が話されている場所で育った子供はあまり悩まないと思う。逆に、日本など、一つの言語しか話されていない国では、こういったTCKの子どもたちのが経験していることや、悩みなどを正確に理解できる人が少ない気がする。

言葉は沢山話せた方が得は多いが、私のようなTCKの場合、一つの言語しか必要とされていない場所にいると、すごく辛い思いをする可能性があると思う。

思春期の子供は、自分と周りの子たちの環境の違いをしっかりと把握できている子が少ない。そのため、人よりできないことにがっかりしてしまうことも多い。言語は沢山話せた方が得は多いが、一つしか言語が必要とされてない場所にいると、すごく辛い思いをする可能性があると思う。

TCKにもいろんな人たちがいて、本当にみんな経験してることが違うので、また今度は友達の話でもしてみたいと思う。

Published by Mufasa.

日本と台湾のハーフ。日本語、中国語、英語でブログをゆるーく書いてます。

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